宮島 完全ガイド

神宿る島の美と文化を120%楽しむためのエチケット&スポット

目次

はじめに:神々が宿る島、宮島へようこそ!記憶に残る旅の心得

第1章:歴史と信仰が織りなす宮島の物語と最新情報

1-1. 平安の夢から世界遺産へ:宮島の歴史

1-2. 祈りの形と匠の技:宮島に根付く文化

1-3. 【2025年最新】美しさを取り戻した大鳥居と島の今


第2章:旅の準備と基本情報:スムーズな旅の第一歩

2-1. 広島市内から宮島へのアクセス(フェリーの乗り方)

2-2. 島内の交通手段:徒歩とロープウェイが基本

2-3. 旅の重要知識:潮の満ち引きを調べる方法


第3章:【エリア別】人気観光スポットと知っておくべきエチケット

3-1 厳島神社エリア:神域での振る舞いと撮影マナー

3-2 大聖院・紅葉谷公園エリア:静寂な寺院と自然の楽しみ方

3-3 弥山(みせん)エリア:聖なる山でのハイキングマナー

3-4 表参道商店街エリア:食べ歩きと鹿との共存ルール


第4章:これだけは押さえたい!宮島を満喫するためのテーマ別マナー集

4-1. 野生の鹿編:「餌やりは厳禁」?神の使いとの正しい接し方

4-2. 神社・仏閣編:神聖な場所での正しい参拝作法

4-3. 食事編:名物グルメのスマートな楽しみ方

4-4. 自然・環境編:世界遺産の島を未来に残すために


第5章:旅のプランニング:マナーを実践するモデルコース

5-1.【日帰り】宮島の魅力を凝縮!王道コース

5-2. 【1泊2日】静寂の夜と神秘の朝を体験する満喫コース


おわりに:心に残る神聖な旅を


はじめに:神々が宿る島、宮島へようこそ!記憶に残る旅の心得

はじめに:神々が宿る島、宮島へようこそ!記憶に残る旅の心得

広島の海岸からフェリーでわずか10分。そこに浮かぶのは、古くから島全体が神として崇められてきた聖なる地、宮島(正式名称:厳島)です。海に浮かぶ朱塗りの大鳥居、荘厳な社殿、そして愛らしい野生の鹿たちが、訪れる人々を神秘的な世界へと誘います。

このガイドは、宮島の美しい景観や名所をご案内するだけではありません。あなたがこの神聖な島の文化や歴史に敬意を払い、守るべきルールを理解することで、単なる観光を、心に深く刻まれる精神的な体験へと昇華させるためのお手伝いをします。

特に、宮島のシンボルである鹿との正しい接し方を知ることは、あなた自身と鹿、そして島の環境を守るために非常に重要です。さあ、神々との静かな対話を楽しむ、特別な宮島の旅を始めましょう。


第1章:歴史と信仰が織りなす宮島の物語と最新情報

宮島の風景の裏には、1400年以上にわたる深い歴史と信仰が息づいています。その物語を知ることで、あなたの旅はより一層、意味深いものになるでしょう。

1-1. 平安の夢から世界遺産へ:宮島の歴史

宮島の歴史は、推古天皇元年(593年)に厳島神社が創建されたことに始まります。しかし、その名を天下に知らしめたのは、平安時代末期の権力者、平清盛(1118-1181)です。清盛は厳島神社を篤く信仰し、一族の繁栄を祈願して、海上に浮かぶ壮麗な寝殿造りの社殿を造営しました。この独創的で美しい景観が、宮島の原点となっています。

江戸時代には、庶民の間で「厳島詣」が流行し、多くの人々がこの島を訪れました。そして1996年、厳島神社とその背後に広がる弥山の原始林を含む区域が、ユネスコの世界文化遺産に登録され、その価値は世界的に認められることとなりました。

1-2. 祈りの形と匠の技:宮島に根付く文化

1-2. 祈りの形と匠の技:宮島に根付く文化
  • 宮島彫り: 厳島神社の社殿建築で余った木材を使い、島を訪れた人々へのお土産として木工品を作ったのが始まりとされる伝統工芸。特に宮島杓子(しゃくし)は「敵を召し(飯)取る」という語呂合わせから、幸運を招く縁起物として有名です。
  • 管絃祭(かんげんさい): 毎年旧暦6月17日に行われる、日本三大船神事の一つ。平安時代の貴族の遊びであった管絃(雅楽)を船に乗せて奏でながら、神様をお慰めする優雅で荘厳な祭りです。

1-3. 【2025年最新】美しさを取り戻した大鳥居と島の今

2019年から約3年半に及んだ大規模な保存修理工事を終え、厳島神社のシンボルである大鳥居は、2022年末に鮮やかな朱色を取り戻しました。現在は足場もすべて撤去され、本来の美しい姿を再び海上に映しています。潮が満ちれば海に浮かぶ神秘的な姿を、潮が引けばその巨大な根元まで歩いて行けるという、2つの表情を楽しめる絶好の機会です。最新のデジタル技術を駆使した観光案内所も整備され、より快適に島の魅力を探訪できるようになっています。


第2章:旅の準備と基本情報:スムーズな旅の第一歩

2-1. 広島市内から宮島へのアクセス(フェリーの乗り方)

2-1. 広島市内から宮島へのアクセス(フェリーの乗り方)

宮島へはフェリーで渡るのが唯一の方法です。

  • ルート: JR広島駅から山陽本線で宮島口駅へ(約30分)。宮島口駅からフェリー乗り場までは徒歩約5分。
  • フェリー会社: JR西日本宮島フェリーと宮島松大汽船の2社が約10~15分間隔で運航しています。所要時間は約10分。
  • JRフェリーの特典: 「ジャパン・レール・パス」を持っている場合、JRフェリーは追加料金なしで乗船できます。また、JRフェリーは便によって大鳥居に最も接近する航路を通るため、海上からの絶景を楽しみたい方におすすめです。

2-2. 島内の交通手段:徒歩とロープウェイが基本

宮島内の主要な観光スポット(厳島神社、表参道商店街、大聖院など)は、フェリー乗り場から徒歩圏内にまとまっています。島内は道が狭いため、散策は徒歩が基本です。弥山(みせん)に登る際は、中腹まで「宮島ロープウエー」を利用するのが便利です。

2-3. 旅の重要知識:潮の満ち引きを調べる方法

宮島の観光体験は、潮の満ち引きに大きく左右されます。

  • 満潮時: 大鳥居や社殿が海に浮かんでいるように見える、最も幻想的な時間帯です。
  • 干潮時: 大鳥居の真下まで歩いて行くことができます。その大きさを間近で体感できる貴重な機会です。
  • 調べ方: 宮島観光協会のウェブサイトには、日々の潮汐表(タイドテーブル)が掲載されています。「満潮(High Tide)」と「干潮(Low Tide)」の時刻と潮位を事前に確認し、計画を立てましょう。1日で両方の景色を見ることも可能です。


第3章:【エリア別】人気観光スポットと知っておくべきエチケット

3.1. 厳島神社エリア:神域での振る舞いと撮影マナー

3.1. 厳島神社エリア:神域での振る舞いと撮影マナー

知っておくべきエチケット: 厳島神社は、現役の信仰の場であり、神聖な「神域」です。大声で騒いだり、走り回ったりするのは厳禁。回廊を歩く際は、静かに景色を楽しみましょう。三脚を使用した本格的な撮影は、他の参拝者の迷惑になるため、混雑時は特に控えましょう。御祈祷など神事が行われている際は、撮影を控えるのがマナーです。

3-2. 大聖院・紅葉谷公園エリア:静寂な寺院と自然の楽しみ方

3-2. 大聖院・紅葉谷公園エリア:静寂な寺院と自然の楽しみ方

知っておくべきエチケット: 大聖院は宮島で最も歴史の古い仏教寺院です。境内にある「マニ車」は、チベット仏教の仏具で、1回転させるとお経を1回読んだのと同じ功徳があるとされています。静かに回しましょう。「遍照窟」は、四国八十八ヶ所霊場の本尊が祀られており、お遍路と同じご利益が得られるとされる神聖な場所です。静粛に中を巡りましょう。

3-3. 弥山(みせん)エリア:聖なる山でのハイキングマナー

知っておくべきエチケット: 弥山は古くからの信仰の対象であり、手つかずの自然が残る国立公園です。登山道を外れて歩かない、植物を採らない、ゴミは必ず持ち帰る、という基本的なルールを守りましょう。すれ違う登山者とは「こんにちは」と挨拶を交わすのが日本のハイキング文化です。

3-4. 表参道商店街エリア:食べ歩きと鹿との共存ルール

3-4 表参道商店街エリア:食べ歩きと鹿との共存ルール

知っておくべきエチケット: 焼き牡蠣やもみじ饅頭など、魅力的なグルメが並びますが、箱根と同様に「歩きながら食べる」のは避けましょう。購入したお店の前や、指定の場所で食べるのがマナーです。そして最も重要なのが鹿への注意です。食べ物を持っていると、鹿が近づいてくることがあります。詳細は次章で解説しますが、食べ物を安易に見せない、与えないことを徹底してください。

第4章:これだけは押さえたい!宮島を満喫するためのテーマ別マナー集

4-1. 野生の鹿編:「餌やりは厳禁」?神の使いとの正しい接し方

4-1. 野生の鹿編:「餌やりは厳禁」?神の使いとの正しい接し方

宮島の鹿は「神の使い」とされていますが、野生動物です。奈良の鹿とは異なり、宮島では観光客が鹿に餌を与えることは固く禁止されています。

なぜ禁止なのか?: 人の食べ物の味を覚えると、鹿が自然の草を食べなくなり、生態系が崩れる原因となります。また、食べ物を求めて人を追いかけたり、お店の商品を荒らしたりする問題にも繋がります。


正しい接し方:

  • 絶対に餌を与えない。
  • 食べ歩きをしない。食べ物はカバンの中にしっかりしまう。
  • 紙類(地図や切符など)も食べてしまうことがあるので、注意する。
  • 優しく見守る。むやみに触ったり、追いかけたりしない。特に子鹿がいる時期は、母鹿が警戒しているので注意が必要です。

4-2. 神社・仏閣編:神聖な場所での正しい参拝作法

  • 鳥居の前で一礼: 神社の入り口である鳥居をくぐる前に、軽くお辞儀をします。
  • 手水舎での清め方: 右手で柄杓を持ち左手を清め、次に左手で右手を清めます。再び右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口をすすぎ、最後に柄杓を立てて柄を洗い流します。
  • 二礼二拍手一礼: 神前では、2回深くお辞儀をし、2回拍手を打ち、最後にもう一度深くお辞儀をするのが基本です。

4-3. 食事編:名物グルメのスマートな楽しみ方

牡蠣やあなごめしなど、宮島には美味しいものがたくさんあります。人気店は行列ができることも多いので、時間に余裕を持って計画しましょう。食べ歩きグルメは、商店街のルールを守り、ゴミは指定の場所に捨てるか持ち帰りましょう。

4-4. 自然・環境編:世界遺産の島を未来に残すために

宮島は島全体が貴重な文化遺産であり、自然遺産です。美しい景観と環境を守るため、ゴミのポイ捨ては絶対にやめましょう。喫煙は指定された場所でのみ可能です。


第5章:旅のプランニング:マナーを実践するモデルコース

5-1. 【日帰り】宮島の魅力を凝縮!王道コース

  • 午前: 広島から宮島へ → 満潮時刻に合わせて厳島神社を参拝 → 表参道商店街でランチ(焼き牡蠣など)と散策
  • 午後: 大聖院を訪れる → 干潮時刻に合わせて大鳥居の根元へ → フェリー乗り場近くでお土産探し → 帰路へ

5-2. 【1泊2日】静寂の夜と神秘の朝を体験する満喫コース

  • 1日目午後宮島着 → 旅館に荷物を預ける → 表参道商店街を散策 → 干潮の大鳥居を見学 → 旅館にチェックイン → 夕食後、ライトアップされた幻想的な厳島神社と大鳥居を散策(夜は鹿もおとなしいですが、静かに)
  • 2日目早朝、人の少ない厳島神社を参拝(満潮なら最高) → 朝食後、宮島ロープウエーで弥山へ → 弥山本堂や「消えずの霊火」を見学し、山頂からの絶景を楽しむ → 下山後、紅葉谷公園を散策 → ランチ後、お土産を探しながら帰路へ


おわりに:心に残る神聖な旅を

おわりに:心に残る神聖な旅を

宮島は、ただ美しいだけの観光地ではありません。そこは、神々と自然、そして人々が長い年月をかけて共存してきた祈りの空間です。このガイドで紹介したマナーやルールは、その神聖なバランスを未来へと繋いでいくための、私たち旅行者にできるささやかな貢献です。

鹿を優しく見守り、神域に敬意を払い、島の静けさに耳を澄ませる。そうすることで、あなたの旅はきっと、忘れられない深い感動と安らぎに満ちたものになるでしょう。